2005年にタワー投資顧問の運用部長として長者番付1位に輝いた伝説のファンドマネージャー、清原達郎氏。その卓越した投資手法は、多くの個人投資家から注目を集めています。今回は、清原氏の投資哲学から具体的な手法、そして銘柄選択の基準までを深く掘り下げ、氏の投資術のエッセンスを余すところなくお伝えします。
清原達郎氏は、1938年生まれの現役投資家です。1963年に東京大学経済学部を卒業後、野村證券に入社。その後、1999年にタワー投資顧問に移り、2005年には「タワーK1ファンド」の運用で長者番付1位を獲得しました。2023年に同ファンドの運用を終了し、タワー投資顧問を退社。同年、自身の投資哲学をまとめた著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』を出版し、大きな話題を呼びました。
清原氏の投資哲学は、「長期投資」と「バリュー投資」を基軸としています。氏は、短期的な値動きに惑わされることなく、企業の真の価値を見極め、長期的な視点で投資を行うことの重要性を説いています。また、市場の効率性を信じ、割安な銘柄を発掘し、その価値が市場に認められるまで保有し続けることで、大きなリターンを獲得できると考えています。
清原氏は、短期的な市場の変動に一喜一憂することなく、10年、20年という長期的な視点で投資を行うことを重視しています。これは、企業の成長には時間がかかること、そして市場は短期的には非効率でも、長期的には効率的に機能し、真の価値を反映するという信念に基づいています。
清原氏は、市場で過小評価されている割安な銘柄を発掘し、投資対象とする「バリュー投資」を実践しています。企業の財務状況や収益力、将来性などを分析し、 intrinsic value(内在価値)を算出することで、市場価格との乖離を見極め、割安な銘柄に投資を行っています。
清原氏の投資手法は、以下の3つのポイントに集約されます。
清原氏は、投資を行う前に、徹底的な企業分析を行うことを重視しています。企業の財務諸表はもちろんのこと、事業内容、競争環境、経営陣の能力など、多角的な視点から企業を分析し、その真の価値を見極める努力を惜しみません。特に、四季報を活用した企業分析は、清原氏の代名詞とも言えるでしょう。
清原氏は、企業情報誌「会社四季報」を徹底的に活用することで知られています。四季報には、企業の財務情報、事業内容、業績予想などが網羅されており、清原氏はこれらの情報を丹念に分析することで、投資判断の材料としています。例えば、四季報の業績予想欄に掲載されている「会社計画」と「四季報予想」を比較することで、企業の将来性を評価するといった手法を用いています。
清原氏は、PER(株価収益率)、PBR(株価純資産倍率)などの指標を用いて、割安な銘柄を発掘することに長けています。これらの指標が低い銘柄は、市場で過小評価されている可能性が高く、将来的な株価上昇が見込めるという考え方です。ただし、指標だけで判断するのではなく、企業の将来性や成長性なども考慮に入れた上で、投資判断を行っています。
清原氏は、一度投資した銘柄は、短期的な値動きに惑わされることなく、長期にわたって保有するスタイルです。企業の成長には時間がかかること、そして市場は長期的には効率的に機能し、真の価値を反映するという考えに基づいています。そのため、短期的な利益を狙った売買は行わず、企業の成長をじっくりと見守る姿勢を貫いています。
清原氏は、著書『わが投資術 市場は誰に微笑むか』の中で、自身が注目する銘柄の条件として以下の点を挙げています。
これらの条件を満たす銘柄の中から、さらに独自の視点で分析を行い、投資対象を絞り込んでいます。具体的な銘柄選定については、著書で詳しく解説されていますので、ぜひ参考にしてみてください。
清原氏の投資術は、長年の経験と深い洞察に基づいた、まさに「王道」と言えるものです。氏の投資哲学、手法、銘柄選択の基準を学ぶことで、私たち個人投資家も、より確実な投資を行い、資産形成を目指せるのではないでしょうか。
最後に、清原氏の言葉を引用して締めくくりたいと思います。
「株式投資に才能など存在しない。必要なのは、正しい知識と、それを実践する勇気、そして忍耐力である。」
この記事が、皆様の投資活動の一助となれば幸いです。